アマチュア無線の勉強してたら急にフーリエが来たので

ロスジェネ雑記

前の記事で書いた通り第4級アマチュア無線技士試験(略して4アマ)は四の五の言わずに暗記してけばいいんだけど、気になった部分を「どうして?」と調べてたら思わぬ沼が広がっていたというお話。

1.無線って、マイクに音を入れた時だけ電波が飛ぶんじゃないみたい

無線の勉強を始める前は、送信側がマイクに音を入れた時だけそれに応じた電波がアンテナから出て、受信側はそれをアンテナで受けてるもんだと思ってたんですよ。

空気の振動がマイクで電気信号に変わってそのまま飛んでいくような、ほぼ糸電話と同じイメージ。

でも、人間の耳が聞き取れるような音の周波数(大体20Hz~15kHzくらい)は低すぎて、それをそのまま電波にして送受信するのは面倒が多いそうな。現在は【搬送波】っていう『情報を乗せるための周波数が高い波』を用意してそこに情報を乗せてるんだって。

マイクに音を入れてない時でも、送信状態になっていさえすれば搬送波はずっと出ていて、音を入れると搬送波に情報が乗る(というか音の周波数に応じた変化が加えられる)っていう感じ。

※これは後述するAMに近いイメージ。

搬送波がどの様に「あばばば」の情報の乗せるのかについては色んな方法があるっぽいのでとりあえずモザイク。

2.搬送波に情報を乗せる方式

搬送波に情報を乗せることを【変調】と言い、この方式にも色々あって沼の予感がする。でも4アマで習うのは【振幅変調】と【周波数変調】の2種類だけ。

振幅変調は『搬送波の周波数を変えずに振幅を変えることで情報を乗せる』方式、周波数変調は『搬送波の振幅を変えずに周波数を変えることで情報を乗せる』方式。言葉で説明するよりも以下のアニメーションを見たほうが分かりやすい。


(※1:記事末尾に引用元情報)

Signalがマイクから入る音の情報で、AMが振幅変調(※2)・FMが周波数変調。搬送波にどの様な変化がついているかを受信者側で解析して元のSignalを復元することができ、それにより受信者側が音を再現できるって感じ。

3.振幅変調の説明で急に【周波数成分】って言葉が出てきた

で、「振幅変調は搬送波の周波数を変えない」ってことを習った直後のページでいきなりこんな説明が出てくるんですよ。

周波数 f搬送波を周波数 fs の音で振幅変調すると、図のように「搬送波」「上側波帯」「下側波帯」という3つの周波数成分となります。

波帯?波の帯?帯の幅?って言われても、さっき「振幅変調は搬送波の周波数を変えない」って習ったばっかりなのになんでやねんってハマるの。

で、顔真っ赤にしてググっているうちにだんだん分かってきた。「図のように…3つの周波数成分となります」って書いてあったじゃん。「周波数成分」でググると「周波数スペクトル」が出てくる。スペクトルっていうと太陽光をプリズムで分光した時に「太陽光の中には虹の色が含まれてるんだなー」っていう実験を思い出す(Wikipedia:スペクトル)。

「太陽光を分光(つまり分解)すると、これだけ沢山の光たちが混ざってできてることが分かりますね」っていうのと同じことを無線の電波でもやってるんじゃね?と考えるとググりが捗った。

光はプリズムを通すことで分解できる。じゃあ電波はどうやって分解するのかというと、フーリエ変換ってやつを使うらしいよ。数式を見てもさっぱり分からんけど、これまた以下のアニメーションを見ると分かりやすい(Wikipedia:フーリエ変換)。


(※3:記事末尾に引用元情報)

赤い線で表されてるのが『搬送波に音の情報を乗せた波』とイメージすると、その波は『元になっている搬送波』と『いろんな周波数の音』が合体してできたものなので、それぞれの波がどの程度の強さで含まれているかを分解して表示することが出来る→それが青い縦棒の線…ってことになるんじゃないかな。

搬送波の周波数は変わってない。ただ、その搬送波に乗せられている色んな波が成分として表されている。ふむふむ。興奮してきた。

4.DSBとかSSBとかっていうのは周波数成分の話だった

大体以上について調べてから以下のページにたどり着いて全部解決。

SSBの波形
CQ誌12月号の記事に60年前の雑誌の表紙の「SSBのオシロスコープの波形」ってのが出ていたけれど,本当はあんなふうにならないよね. 「両側波帯の片側を切り落とした単側波帯だよ」 と強調するにはインパクトのある画像だとは思うけど,あれは正弦波をダイオードなどで,整流しただけの...

このページでは波とその成分(スペクトル)を上下に並べてくれているのでめっちゃ分かりやすい。で、簡単な音声信号のモデルを周波数100の搬送波に乗せた時にどんなスペクトルになるかを見てみると、この図とそっくりになってる。

「上側波帯」とか「下側波帯」とかいうのは波としての周波数が変わっちゃってるということじゃなくて、その波の中にどんな周波数の成分がどの程度含まれているかを表していたってことなのね。

成分として一番強い搬送波がど真ん中にどーんと立っていて、その両脇に音声の周波数成分が分布してる。これらの周波数成分のまま送受信する方式が、『搬送波の両脇に2種類の成分がある=Double Side Band=DSB』(※4)。

一方、搬送波の成分には音声の情報が入ってないからイラネってことでこれを削り、さらに音声の周波数成分も左右対称で分布してるんだから片方だけ送って受信側が左右対称に戻せばよくね?っていう方式が『片方の音声成分だけで送受信する=Single Side Band=SSB』(※5)。

あくまで波の成分の話をしているのであって、SSBでも波そのものをカットしている訳ではないっていうのがイメージできるといい感じかしらね。

5.混信

搬送波の成分を中心としてどの程度の周波数成分が上下に広がっていて良いかというのは法令で定められているんだって。

あんまり周波数成分が遠くまで広がってしまっている(つまり占有周波数帯幅が広い)と、別の搬送波での通信が持っている成分と重なる部分が出てきちゃう。

これが混信ってことなんだと思うけど4アマだと試験範囲じゃないみたい。ふむう。

6.小惑星探査機はやぶさのあのシーンってこれか

周波数成分を見た時に一部がピーンと立ってるのをどっかで見たことあるなと思ったら、このシーンですわ(出展:探査機はやぶささん)。

探査機はやぶささん 04 - ニコニコ動画
探査機はやぶささん 04 1話 → sm10826058 5話 → sm16985492■解説のニコ割をじっくり見たい人は 6分まで → nm12947595 6...

これ、通信途絶&行方不明になってたはやぶさからの電波を探してる時に、その周波数成分が発見されたってことだったのね。でっかいパラボラアンテナで受信した電波を片っ端から成分ごとに分解して、その画面を延々と肉眼で見続けて探したってことか。やっとスペクトラムアナライザの意味が分かった。なるほどなー。

こうしていつも通り4アマの試験とは何の関係もない沼へばかり向かっていくおじさん。

※1:File:Amfm3-en-de.gif. (2016, October 21). Wikimedia Commons, . Retrieved 10:29, 12月 1, 2018 from https://commons.wikimedia.org/w/index.php?title=File:Amfm3-en-de.gif&oldid=210367134.
※2:『振幅変調=AM』と書いてしまうとどうも語弊があるらしく、単にAMと言った場合には『振幅変調の中でもDSBで、かつDSBの中でも搬送波の成分を削らずに送受信するもの』を指すのだとかなんとか…。難しい…。厳密に書こうとすると大変だから記事内では『振幅変調=AM』としちゃってるけど。
※3:public domain.
※4:ここで図に描いたのは『搬送波の成分を削らずに送受信するDSB』ですが、これ以外にも『搬送波の成分を弱めて送受信するDSB』と『搬送波の成分を削って送受信するDSB』があるとかなんとか。でも普通にDSBと言った場合には最初のものを指し、それはAMを指すってことらしい。
※5:ここで図に描いたのは『搬送波の成分を削って送受信するSSB』ですが、これ以外にも『搬送波の成分を削らずに送受信するSSB』と『搬送波の成分を弱めて送受信するSSB』があるとかなんとか。でも普通にSSBと言った場合には最初のものを指すらしい。振幅変調なのにAMって呼ばれないかわいそうなSSB…。

コメント

※初回投稿時の承認制や不適切なコメントの削除方針についてはこちらをご確認ください
※コメントのテスト投稿をしてみたい方はこちらの記事でどうぞ