種子島ロケットコンテスト2019に行ってきたよ(中編)

宇宙開発

前編はこちら。

3.ロケットコンテスト競技1日目

3月7日(木)。この日からは種子島宇宙センターを利用させてもらって、ロケット部門とCanSat部門の競技です。わいはCanSat部門の参加チームだったのでこのブログはどうしてもCanSatの情報が多くなりますが、競技内容としてはロケット部門の方が多いのです。

どんな競技があるのか改めて簡単に紹介すると以下の通り。

種目1 ロケット部門 滞空および定点回収

発射点から打ち上げ、できるだけ長く空中に滞在し、かつ射点にいかに近く着陸できるかを競う。

公式開催要項PDF

種目2 ロケット部門 ペイロード有翼滞空

ペイロードに翼をつけ、放出から着地までの滞空時間の長さを競う。

公式開催要項PDF

種目3 ロケット部門 高度

本会が支給する高度測定装置を搭載し、できるだけ高く飛ぶことを競う。

公式開催要項PDF

種目4 ロケット部門 フライバックタイムアタック

本会が用意するペイロード3機を同じロケットで3回打上げ、1機目の打ち上げから3機目の機体・ペイロードを射点まで回収する間のタイムを競う。

公式開催要項PDF

種目5 ペイロード部門 CanSat come-back コンペ

CanSat による come-back 競技。

高度50m前後から投下し、その後、飛行または走行して、あらかじめ指定した目標地点の近くに到着できるかを競う。

公式開催要項PDF

ロケット部門はモデルロケットを利用して競技が行われます(参考:特定非営利活動法人日本モデルロケット協会)。競技内容によってはそんなに高く上がっていないようにも見えますが、最高で高度300m以上飛んでたはず。

以下の動画は種目1で、見事に射点近くへ着陸しています。打ち上げた参加者さんも思わずガッツポーズ。

種子島ロケットコンテスト2019競技1日目 ロケット部門の様子

一方、CanSat競技の方は気球で高くぶら下げた機体を落下させる形で進む…はずだったんだけど、この日は風が強すぎて気球が危険な状態だったので、急遽大型クレーンを手配しての実施となりました(※1)。

右下にある赤い三角コーンが目標地点。

この競技は「惑星探査機が着地してから目的地に到達するまで」を模しているものだと思います。壊れないように着地して、自分の場所と目的地を認識して、自動でそこまでたどり着くという一連の流れをどのように実現するのか、各チームの工夫が見どころ。

とは言え、風が強すぎた事により水平方向に流されながら着地することで意図しない衝撃が加わって壊れてしまったり、着地後にパラシュートが絡まってしまって動けなかったりと、かなり過酷な状況でした。


なお、SOMESATチームの競技順は2日目に配置されていたため、この日は保安要員としてのお手伝いに入っていました。モデルロケットの打ち上げやCanSatの投下の前に、落下物がぶつかる可能性があるエリアの車両通行を止めて安全確認をするやつです。

オタク系イベントとは全く異なる運営を体験できて、これはこれでいい経験になりましたわん。

4.ロケットコンテスト競技2日目

3月8日(金)。いよいよSOMESATチームの競技がある日です。昨日よりは風がおさまり、気球の出番がやってきました。昨日の朝にヘリウムを入れたもののクレーンの登場により使われないまま倉庫に保管されていたんでしょう。

それではSOMESATチームの機体紹介です。

(1)えだまめ2.1 画像認識機

カメラで目標地点の三角コーンを認識し、ピッタリと到着すること(0メートルゴール)を目指す機体。多分エース。

(2)えだまめS 教育用キット実証機

CanSat競技の入門機・学習機として標準的な機能を搭載したもの。GPS誘導で目標地点を目指します。えだまめ2.1と比べてみると、カメラがないのが分かりますね。

(3)えだまめS ミッション型

入門機のえだまめSをベースに、独自ミッションを組み込もうとした場合の応用例。まあSOMESATの場合には【宇宙ではちゅねミクにネギ振りをさせる】という独自すぎるミッションがあるのでこうなりますが。LEDが順番に点灯することで、3コマアニメみたいにネギを振ります。

真面目に補足すると、宇宙でのネギ振りに向けた姿勢制御技術を獲得するために、加速度・角速度・地磁気・気圧・GPSを記録し落下中の姿勢を解析・検討します。

(4)LoRa変調通信試験機

小さくてもアマチュア無線局(LoRa変調を用いたアマチュア無線局は日本初)。人工衛星に使う通信機の実証として、この機体からの無線を地上で受信する試験を行います。

こんなに何個も機体があっていいのかと疑問に思う方もおられるかもしれませんが、CanSat競技のレギュレーションでは

機体とパラシュート合わせて、直径154mm、高さ300mmの円筒に収まるサイズで、質量 1050g以内。

であればOKなのです。競技の際にはこんな感じに円筒の中へ機体を詰めます。で、円筒が気球に吊るされて、リモコンで底が開いて投下されます。

チームによって円筒のサイズギリギリの大きな機体1機で挑んだり、逆に小さな機体をたくさん円筒に詰めてばらまいたりと色々です。

では競技の様子を短めの動画で。

投下!そしてえだまめ2.1とえだまめSの動き

種子島ロケットコンテスト2019 SOMESATチームその1

一気に4機が投下されるかと思いきや、まず最初にえだまめ2.1とえだまめSが降りてきました。「あれー?」と思っていると、えだまめSミッション型が降下というか落下!そしてLoRa変調通信試験機は風に乗ってぐんぐん飛距離を伸ばし、芝生広場を越えて竹崎海岸の方へ…。多分今回のロケットコンテストで最長の飛距離。

パラシュートの回収に慌てるSOMESATチームを尻目に、えだまめ2.1とえだまめSは目標地点への移動を始めます。

えだまめSのゴールと、えだまめ2.1の画像認識の様子が…?

種子島ロケットコンテスト2019 SOMESATチームその2

前をゆくえだまめ2.1がちょっと道を逸れ、後ろからついて行っていたえだまめSが三角コーンに向かいます。

ピタリと止まった位置が、えだまめSが判断した「ここが目標地点」ということに。GPSの精度ではどうしても数メートルの誤差が出るので、GPSのみの誘導だとこういう形になるんだそうです。

一方、GPSよりも高精度に目標に向かうはずのえだまめ2.1がどこへ向かおうとしているのかというと、三角コーンと同じ色をしたテントを目標地点と認識してしまった模様。いやー、こういうのは現場で何が起こるか分からなくて凄いですな。事前にテントの色とか分からないから。

えだまめ2.1のしぶとさ、次のチームは戦車型、そしてゴール!

種子島ロケットコンテスト2019 SOMESATチームその3

えだまめ2.1がテントの色に惑わされてぐるぐると同じ場所を行ったり来たりしていたために10分以上かかってしまい、そのまま次のチームがスタートすることに。思いのほか近くに降下してきた機体はなんと戦車型!ニクロム線でパラシュートの糸を焼き切るのかっこよかった。

動作時間が長くなってしまったのでバッテリーが持つのか勝手に心配していたえだまめ2.1はしぶとく動き、三角コーンを認識しなおしてジリジリと接近。そして無事に0メートルゴールを達成しました!

また、えだまめSミッション型には落下した際と風でパラシュートに引きずられた際の貴重なデータが記録されており、藪の向こうに行ってしまったLoRa変調通信試験機は無事回収され、さらに通信データも地上で記録されていました。

自分たちの競技終了後は、それぞれ興味がある部門の様子を見に行ったり種子島宇宙センターの中を見学したりです。

後編へ続く。

※1

素人考えだと「気球で持ち上げるよりもクレーンの方が速くて安定してるしもうクレーンでええやん」となるんですが、この日はクレーンを停められる場所と風向きがたまたまいい感じだったのでうまくいっただけで、もし風向きが逆だとCanSatがクレーンにぶつかる可能性があり、やっぱり気球の方が安全なんだそうな。

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書いてる人

大学卒業後に塾講師のアルバイトをしながら旧司法試験の勉強をしていたら、なぜかエロゲ制作会社に入社し、その後社長に→破産処理。

今はデザイン系の会社で新規事業開発のディレクターとかバックオフィス業務改善のマネージャーとかを担当しています。普段は茨城県水戸市のコワーキングスペースでリモートワークしつつ、週に2日ほど都内のオフィスに出勤するスタイル。
宇宙開発とか好き。

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さむいし。

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